
堀部俊男社会保険労務士事務所
働く人を大切にする企業づくりと
働く人の福祉の向上をサポート
ごあいさつ
安心して働ける職場づくりのお手伝い

私、堀部俊男は、働く人を大切にする企業づくり、安心して働ける職場づくり、働く人の福祉の向上に寄与しようと社会保険労務士になりました。社会保険労務士になる前は、名古屋市職員として公害対策の規制指導などに携わり、60歳の定年後も再任用職員・嘱託職員として勤務しました。名古屋市在職中は、長く労働組合の役員を務めてきました。2020年の社会保険労務士国家試験に5回目の挑戦で合格し、その後事務指定講習を修了し、2021年8月に開業登録をしました。また、2024年4月には特定社会保険労務士となり、個別労働紛争解決手続代理業務の資格も取得しました。労働・社会保険の専門家として、いろんな形での社会貢献ができればと思っています。顧問契約を前提としない単発の仕事や相談に応じます。なお、労働問題の相談については、これまでの労働組合役員としての経験を生かし、原則として労働者側からの相談のみの対応とさせていただきます。お気軽にご相談ください。

業務内容
まずはお問い合わせ・ご相談ください。
できる限りお客様のご希望に沿うよう、誠意を持って対応いたします。以下の業務内容をご覧いただき、ご不明な点はお問い合わせください。まずは、電子メールまたは電話・FAXでご連絡ください。



トピックス
労働・社会保険についての解説を随時掲載します。
1 最低賃金引き上げ
2 紛争解決手続代理業務
3 労働条件明示事項の追加
4 2024年度の年金支給額改定
5 自治労名古屋再任用評議会講演資料「退職後の社会保険」
6 時間外割増賃金率の引き上げ
7 退職後に加入する健康保険
8 高年齢求職者給付金の支給額
9 被用者保険の拡大などの年金制度改正
10 在職年金制度の支給停止基準の変更
11 育児・介護休業法の改正
12 社労士診断認証制度
13 傷病手当の支給期間通算化
14 事務所衛生基準の改正
15 職場のパワハラ防止
16 パート・アルバイトの有給休暇
17 学生納付特例の追納
10月から最低賃金が引き上げられました。愛知県は1077円に
国の中央最低賃金審議会が7月24日、過去最大の時給50円引き上げ、全国加重平均で1054円となる目安をまとめました。これを受け、8月5日、愛知県地方最低賃金審議会は現在1027円の愛知県の「地域別最低賃金」を1077円に引き上げることを決めました。実施は2024年10月1日です。
最低賃金は、雇う上、働く上の、最低限のルールで、年齢やパート・学生アルバイトなどのは働き方の違いにかかわらず、すべての労働者に適用されます。
最低賃金額より低い賃金で契約した場合は無効で、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。最低賃金以上の賃金を支払っていなかった場合は、使用者は労働者にその差額を支払う必要があるとともに、罰則が適用されます。
日給や月給の場合は時間額にして次のような比較をします。最低賃金額は愛知県の現在の額1077円を使用しました。
1 時間給の場合
(時間給) 円 ≧(最低賃金額)1077円
2 日給の場合
(日給)円÷(1日の平均所定労働時間) ≧(最低賃金額)1077円
3 月給の場合
(月給)円÷(1か月の平均所定労働時間) ≧(最低賃金額)1077円
なお、実際に支払われる賃金から以下の1~6の賃金を除外したものが、最低賃金との比較の対象になります。
① 結婚手当など臨時に支払われる賃金
② 賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
③ 時間外割増賃金など
④ 休日割増賃金など
⑤ 深夜割増賃金など
⑥ 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
紛争解決手続代理業務について
社会保険労務士のうち、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた社会保険労務士(特定社会保険労務士)は以下の紛争解決手続代理業務行うことができます。
(1)都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせんの手続の代理
(2)都道府県労働局における障害者雇用促進法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム・有期雇用労働法の調停の手続の代理
(3)個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理
※紛争解決手続代理業務には、依頼者の紛争の相手方と当該紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うことや当該紛争解決手続により成立した和解契約の締結の代理を含む。
私(堀部俊男)は2023年度紛争解決手続代理業務試験に合格し、2024年4月1日付けで社会保険労務士名簿にその旨の付記を受け特定社会保険労務士になりました。
労働条件明示事項の追加
2024年4月1日に改正労働基準法施行規則等が施行され、労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されました。
全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時
1.雇入れ直後の就業場所・業務の内容に加え、就業場所・業務の「変更の範囲」
有期労働契約の締結時と更新時
2.更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
併せて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者に事前の説明が必要。
無期転換ルール※に基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時
3.無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)
4.無期転換後の労働条件
併せて、無期転換後の労働条件を決定するに当たって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努める。
※ 同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。
2025年度の年金支給額の改定
2025年度の年金額の改定は、物価変動率(2.7%)が名目手取賃金変動率(2.3%)を上回ったため、新規裁定者、既裁定者とも名目手取賃金変動率を用いて改定されました。
また、前年度以前マクロ経済スライドによる調整はなかったので、名目手取賃金変動率に2025年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.4%)が行われた結果、2025年度は新規裁定者、既裁定者とも1.9%の引き上げになりました。
年金改定率は、毎年度改定され、その年の4月(支給される月は6月)以後の年金に適用されます。2025年度は、新規裁定者は前年度改定率1.042に1.019を乗じて1.065に、既裁定者は1.015に1.019を乗じた1.062になります。
また、在職者の厚生年金支給停止基準額が50万円から51万円に引き上げられました。
退職後に加入する健康保険
退職後の健康保険については次の3つの手段がありますが、どれにも入らないということは認められていません。
◎ 国民健康保険に加入する
◎ 任意継続被保険者制度を利用する
◎ 被保険者の被扶養者となる
健康保険では、被保険者の被扶養者に対しても保険給付が行われます。被扶養者が増えても保険料は変わりません。ただし、被扶養者になるためには年収180万円未満(60歳以上)などの条件があり、雇用保険の基本手当を受ける場合なども注意が必要です。扶養者の勤務先などに確認が必要です。
被扶養者になれない場合は、国民健康保険か任意継続被保険者制度のどちらかを選択することになります。
国民健康保険については、健康保険の被保険者でないことの他、加入条件は特にありません。
任意継続制度は、①健康保険の被保険者期間が退職の日までに継続して2ヶ月以上ある②退職後20日以内に申し込む
という条件があります。
保険料は、国民健康保険は世帯単位で世帯人数や前年の所得などによって決まり、住所地の市町村ごとに異なりますので、担当課に試算してもらうのが確実です。
任意継続制度の保険料は、事業主負担分も負担することとなりますので、退職時の健康保険料の2倍となります。ただし、上限があり、加入していた健康保険制度の被保険者の標準報酬の平均額(協会けんぽは30万円)で計算します。
なお、協会けんぽの任意継続はこれまで原則として2年間は脱退ができませんでしたが、2022年1月以降は被保険者の申し出により脱退し、国民健康保険に移ることができるようになります。
保険料などを比較検討して有利な制度を選択しましょう。
満65歳以上で失業した場合には基本手当に代えて高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。高年齢求職者給付金を受け取るためには、住所地を管轄するハローワークに行き、求職を申し込み、離職票を提出する必要があります。これで失業の状態であることが確認されたことになります。この日から7日間を経過しないと給付金は支給されません。
ただし正当な理由なく自己都合で退職したケースや「自己の責めにきすべき重大な理由で解雇されたとき」は、7日間に続いて2か月又は3か月)は給付されません。
高年齢求職者給付金の支給額の計算方法
①「賃金日額」の計算
まず、「賃金日額」を計算します。賃金日額とは、離職直前6ヵ月の賃金の1日の単価です。
退職前6ヶ月の賃金総額÷180(6ヵ月×30日)
ただし「賃金日額」には上限額と下限額が設定されています。
65歳以上に適用される上限額は 14,130円、下限額は 2,295円です。(2024年8月1日から)
②「基本手当日額」の計算
雇用保険で受給できる1日当たりの金額が「基本手当日額」です。
これは「賃金日額(①で計算した金額)×給付率」で求められます。
①で計算した「賃金日額」が
2,295円超4,159円未満は給付率は 80%、6,396円超7,065円以下は給付率 50%です。
この範囲に入っていない場合は、「基本手当日額」を出すために次の計算式で計算します。
0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,200)÷7,590}×賃金日額
③「高年齢求職者給付金」の支給額の計算
②で求めた「基本手当日額」が雇用保険加入期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分支給されます。
基本手当日額×50日若しくは30日
(例)雇用保険加入期間1年以上、退職前6ヶ月の賃金総額は120万円
①賃金日額
120万円÷180=6,666円 ※1円未満切り捨て
②基本手当日額
0.8×6,666-0.3×{(6,666-5,200)÷7,590}×6,666=4,946円 ※1円未満切り捨て
③高年齢求職者給付金の支給額
雇用保険加入が1年以上なので、50日分で計算します。
4,946円×50日=247,300円
この額が2週間程度後の失業認定日以降に指定した口座に振り込まれることになります。
被用者保険の拡大など直近の年金制度改正
「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、次の事項が変わりました。
1.被用者保険の適用拡大
① 短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件が、2022年10月と2024年10月の2段階で引き下げられました(500人超→100人超→50人超)。
② 弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う5人以上の個人事業所が2022年10月から強制適用事業所になりました。
③ 厚生年金・健康保険の適用対象となっている国・自治体等で勤務する短時間労働者に、2022年10月から公務員共済の短期給付が適用されました。
2.在職中の年金受給の在り方の見直し
① これまで退職時か70歳到達時にしか改定されなかった65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額が2022年からは毎年10月に改定されます。
② 60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準が、2022年4月から28万円から47万円に引き上げられます。
3.受給開始時期の選択肢の拡大
60歳から70歳の間となっていた年金の受給開始時期の選択肢が、2022年4月以降60歳から75歳の間に拡大しました。
4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
① 確定拠出年金の加入可能年齢が引き上がり、受給開始時期等の選択肢が拡大しました。
※ 企業型DC:厚生年金被保険者のうち65歳未満→70歳未満 2022年4月実施
個人型DC (iDeCo):公的年金の被保険者のうち60歳未満→65歳未満2022年5月実施
② 確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲の拡大(100人以下→300人以下)、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和など、制度面・手続面が改善されます。2022年10月1日実施
5.その他
① 国民年金手帳が基礎年金番号通知書に切替わりました。
② 未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加されました。
③ 短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数が3年から5年に引上げられました。
④年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会対象者が見直されました。
⑤ 児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直しがされました。
2021年6月に「育児・介護休業法」が改正されました。
2021年6月に育児介護休業法が改正されました。その改正内容は、以下の通りです。
[2022年4月1日施行](全企業対象)
・育児休業の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備が事業主の義務に(研修、相談窓口設置等)
・妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、個別の制度周知と休業の取得意向の確認が義務に
・有期雇用労働者の育児休業と介護休業の取得要件の緩和(引き続き雇用された期間が1年以上との要件原則撤廃)
[2022年10月1日施行](全企業対象)
・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
・育児休業を分割して2回まで取得可能に
[2023年4月1日施行](従業員1,000人超企業対象)
・育児休業の取得の状況の公表の義務付け
傷病手当の支給期間通算化
2022年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されました。
「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)」により、従来は支給開始日から1年6か月経過した日までであった傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になりました。
・同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象となります。
・支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になりました。
・2021年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金(2020年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金)が対象です。
照度、便所、救急用具等、労働衛生基準の改正
令和3年12月1日に「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が公布され、職場における一般的な労働衛生基準が次のように変わりました。
○作業面の照度
事務作業の区分が変更され、基準が次のように引き上げられた。
一般的な事務作業(300ルクス以上)
付随的な事務作業(150ルクス以上)
○便所の設備
便所を男性用と女性用に区別して設置するという原則は維持し、独立個室型の便所を設けたときの、男性用及び女性用の便所の設置基準に少人数(同時に就業する労働者が常時10人以内)の作業場における例外と留意事項が示された。
○救急用具の内容
作業場に備える負傷者の手当に必要な救急用具・材料について、産業医等の意見、衛生委員会等での意見を踏まえて具体的な品目を選定することとした。
職場におけるハラスメント防止対策
2022年4月1日から労働施策総合推進法に基づき職場のパワーハラスメント防止措置が中小事業にも、義務化されました。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動の類型として6つの類型があります。
①身体的な攻撃
殴打、足蹴りを行う。相手に物を投げつける。
②精神的な攻撃
人格を否定するような言動を行う。必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。他の労働者の前で、大声で威圧的な叱責を繰り返し行う。
③人間関係からの切り離し
特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する。1人の労働者に対し、同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
④過大な要求
新入社員に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し、厳しく叱責する。業務とは関係のない私用な雑用の処理を強制的に行わせる。
⑤過小な要求
管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。気に入らない労働者に対する嫌がらせのために仕事を与えない。
⑥個の侵害
労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする。労働者の機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する。
学生納付特例の追納
知人から、こんな相談がありました。「学生時代に国民保険料の納付特例を受けていた。今は働いているが、その時代の保険料を納付するよう通知があった。支払った方が得になるのか。」私の答えは次の通りです。
次のような年金制度と現在の経済状況や将来の人生設計を踏まえ、決めてください。
学生納付特例制度を利用した場合、追納しない場合、将来受給する老齢基礎年金は、満額受給はできず、未納期間と同じと見なされます。
老齢基礎年金の計算式は下記の通りです。(2022年度価格)
77万7800円×(保険料納付済月数) ÷ 480月(40年×12月)
仮に、2年間(24ヶ月)納付特例を受けていた場合で、追納しないと将来受け取る老齢基礎年金額は、
77万7800円×456月÷ 480月 = 73万8900円
満額支給より年間4万円近く少なくなります
一方、国民年金保険料は月額、16,590円(2022年度価格)、年額では199,080円で2年間の追納額は約40万円となります。つまり、65歳から75歳までの10年間老齢基礎年金を受給すれば元が取れることになります。(ただし、3年過ぎると延滞金が生じ、10年過ぎると追納はできなくなります。)
ただし、仮に60歳を過ぎても、厚生年金被保険者として働き、厚生年金の加入期間が40年以上になれば、老齢基礎年金の減額分に相当する経過的加算額が老齢厚生年金に加算されるため、この場合は追納してもしなくてもほぼ同じ年金額になります。なお、経過的加算額の計算基礎は厚生年金加入期間であるため、追納による老齢基礎年金の加算とは別々の計算になります。
もう一つの追納のメリットは、追納分の社会保険料控除が受けられ税金が安くなることです。